NSSOLは、⼈的資本の⾼度化を経営の最重要事項を位置づけ、⼈的資本経営の取り組みを進めています。その⼀環として、2021年よりエンゲージメントサーベイを実施し、サーベイ結果をさまざまな施策に活⽤しています。
しかし、エンゲージメントサーベイを導⼊・運⽤していく中では、さまざまな課題や悩みがありました。そこで、「ソシキノミライ」のコンサルタントが伴⾛し、サーベイ結果の分析や、その後の各種施策への「橋渡し」をサポートしました。
では、具体的にどんなサポートがあったのでしょうか?
⼈事企画部、IOC(オファリング&コンサルティングセンター)、そして「ソシキノミライ」コンサルタント、それぞれの視点でご紹介します。
NSSOLは、2021年から「クアルトリクス(Qualtrics)」を導入し、従業員エンゲージメントサーベイを実施していますが、それ以前は他社サービスを利用し「従業員満足度」を測っていました。なぜ、切り替えたのでしょうか。人事企画部の本堂直浩さんが語ります。
本堂 ⼈的資本経営がより重視されるようになり、もっと課題を深堀りする必要性を感じていました。以前の従業員満⾜度調査の設問は「満⾜しているか、否か」を問うもので、表層的な課題抽出にとどまっていました。しかし、従業員エンゲージメントを測る上ではそれだけでは不⼗分で、従業員エンゲージメントに影響する「ビジョンへの共感」「協調」「キャリア⾃律」などに対応した設問も必要でした。また、サーベイ結果にもとづくPDCAサイクルを機能させていきたいと考えていました。
本堂 クアルトリクスは、ダッシュボードの設計がとても良くできています。サーベイ結果を「属性別の分析」「質問別の分析」「他社データとの⽐較」などで分析でき、課題の可視化に役⽴っています。また、UIもわかりやすく各現場の組織⻑にも使ってもらいやすいのもメリットです。
本堂 これを活かして、サーベイ実施の翌週には速報値でクイックに共有して、各組織が改善に向けた議論を始められるようにしています。
クアルトリクスは他部⾨のデータも⾒られるので、例えば⾼スコア部⾨の取り組みを、伸び悩んでいる部⾨のリーダーが参考にするなどの効果も期待しています。
本堂 はい。質の⾼い働き⽅を実現していく上で、サーベイ結果からはさまざまな発⾒がありました。例えば「連帯感」のスコアは⾼く、チームプレイが求められるSIerの業務特性がよく表れています。⼀⽅で「ミッション」のスコアは弱く、受託開発が多いゆえにミッションの⾃分ごと化になかなか⾄っていないことが⾒えてきました。
本堂 クアルトリクスの導⼊により、ミッションやビジョンの「⾃分事化」に向けて、データにもとづいた議論が可能になりました。属性ごとのスコアを可視化することで、浸透度の低い層を把握できるようになり、全社的な施策に加えて、各職場単位での改善アクションを検討する対話会を実施しています。このような場⾯においても、クアルトリクスで定量化・可視化できたことが理解の促進と「⾃分事化」の推進に⼤いに貢献しています。
本堂 重要なのは、「エンゲージメントサーベイを実施することがゴールではなく、その結果をどう活かしていくか」ということだと思います。⼈事部⾨が施策を打つだけでなく、各職場でアクションしていくことが⼤切だと思います。
とはいえ、各職場の部⻑やリーダーは従業員エンゲージメントの専⾨家ではありません。課題が分かっても、改善策に落とし込む段階で苦労しているようです。
だからこそ、「ソシキノミライ」の担当コンサルタントの伴⾛は役⽴つものだと期待しています。
NSSOLは、「NSSOL 2030ビジョン」の実現に向けて、お客様アプローチの変⾰に取り組んでいます。その推進役となる中核組織が、IOC(オファリング&コンサルティングセンター)です。IOCは「ソシキノミライ」の担当コンサルタントが伴⾛しながら、Qualtrcisのサーベイ結果を活⽤し、従業員エンゲージメント向上に向けた改善アクションに取り組みました。
當⽥ IOCでは、前⾝組織の時から従業員エンゲージメント向上に注⼒していました。しかし、会社⽅針への理解度や、各施策への反響を定量的に測る⼿段がありませんでした。
例えば、ランチ会や1on1ミーティングなども⾏っていましたが、そこで得られるのはあくまで定性的な情報ですし、本⾳で語ってもらうのも難しいもの。また、会話で出てきたワードに引っ張られてしまうこともありました。
ところがクアルトリクスを導⼊したことで、「やりがい」「成⻑」「達成感」「誇り」などのメンバーのコンディションや、「インクルージョン」「ウェルビーイング」などさまざまな項⽬を網羅的かつ定量的に把握できるようになりました。
當⽥ たしかにクアルトリクスからは豊富なデータが得られ、「部署」「グループ」「年齢」「職種」などさまざまな切り⼝で分析することができます。ただ、項⽬が多すぎるので、各部⾨のリーダー陣がデータを⾒ても、どこをどう分析すればいいか困ってしまった組織⻑もいました。
當⽥ IOCの⼀連の取り組みには、「ソシキノミライ」担当コンサルタントにもメンバーに加わってもらい、特に定量データから課題抽出するプロセスで、的確な⽰唆を与えてもらいました。
當⽥ 例えば、「インクルージョン」「ウェルビーイング」は前々回の調査から改善が⾒られませんでしたが、担当コンサルタントは調査結果を分析した上で、「難易度の⾼い業務を遂⾏しているからではないか」と仮説を⽴て、具体的な改善案も提案してくれました。提案の例としては、「組織として、あるいはメンバー同⼠が労うコミュニケーションを増やす施策を打ちましょう」「責任感が強いゆえに負担感も増す。仲間との協⼒・連携の場を増やせば、それが和らぐのではないか」などといった内容です。
こうした分析から改善案までを⽰唆いただけるのは、「ソシキノミライ」担当コンサルタントが、従業員エンゲージメント向上に関する豊富な経験や専⾨知を有しているからこそだと感じました。
當⽥ グループリーダー以下のメンバーの反応も聞きながら、以下の様な取り組みを⾏いました。
當⽥ 特に効果を実感したのが「若⼿メンバーのハイライト」でした。IOCはそれぞれが専⾨領域を持ち、リモートワークをしているメンバーも多いので、他メンバーの活躍を知る機会がありませんでした。そこで毎⽉、IOCの⽉次勉強会の場で、若⼿メンバーの活躍を紹介する時間を設けました。
當⽥ 「経営戦略の理解」は、まだメンバーの理解が⾜りないことがわかりました。これまでも部⻑層から継続的に発信をしてきましたが、それでも⼗分ではなく、今後も定期的な共有・フォローアップの必要性を感じました。今年も新たな施策を準備しています。
他には、以前からサーベイ結果を共有し意⾒交換をする対話会を実施してきましたが、今では部⻑、グループリーダー、メンバーといった階層を問わず、エンゲージメントという⾔葉や組織の課題が何なのか、共通認識が持てるようになってきました。
成果が出るまでは時間がかかりますが、組織として改善しようとしている姿勢を取り続けることが重要であると感じています。
最後に、企画⼈事部とIOC、「ソシキノミライ」担当コンサルタント、それぞれの「ソシキノミライ」への期待や思いを語っていただきました。
當⽥ NSSOLにおける価値創造の根幹は「⼈が全て」といっても過⾔ではないと思います。また、同じお考えをお持ちのお客様も多くいらっしゃると思います。 「⼈的資本経営」が注⽬される時代になって、その重要性を改めて実感しました。ITによる業務効率化・⾼度化だけでなく、「⼈の可能性を切り拓いていく」ことこそが、私たちの本質的な価値創造に繋がると考えています。
服部 私は前職が⼈事のコンサルティングファームのコンサルタントでした。エンゲージメント向上の施策は、「働きがい」、特に⼈と⼈の関係性などのソフト⾯に関するものが中⼼になりがちです。しかし、会社で業務を⾏うにはPC含め様々なITを活⽤しているため、「働きやすさ」を整備しなければ⾼いエンゲージメントを維持することは難しいと感じています。その点、NSSOLの従来からのテクノロジーの強みを活かし、「ソシキノミライ」のサービスを通じて、「働きがい」「働きやすさ」両⾯を改善する⽀援ができると考えています。
本堂 私も⼈事担当11年⽬になりますが、⼈事施策は本当に⼿探り。⼈事施策の効果検証は、これまで社員へのインタビューを⾏うなど⽅法は限定的でした。特に従業員エンゲージメントの測定は⼈的資本経営の重要なKPIです。従業員エンゲージメントが⾼くなければ、従業員の成⻑にはつながりません。従業員エンゲージメントを可視化し、データドリブンでPDCAサイクルを回していくことがより重要になっていくはずです。ぜひIOCとソシキノミライと連携して、⼈事施策をデジタル化するソリューションにしていきたいです。
服部 NSSOLはお客様の変⾰をともに実現していこうとしています。「変⾰を起こす」ということを⼈と組織の観点で⾒ても、これまでと違う意識を持ち⾏動を変容することが求められ、それはやはりすごく⼤変なことです。これまでの慣習、⾵⼟、仕組みなどが阻害要因になることも少なくありません。
私たちの「ソシキノミライ」がお客様のコンサルティングをしていく上では、第三者的⽴場から「何が課題なのか」「どうしたら変われるのか」をお客様に提⽰していくことが重要だと考えています。
私たちNSSOLは、⽇頃のシステム開発や運⽤を通じてお客様とともに苦労しながら伴⾛して、⼀緒に課題の根源をつきとめていく。こうした経験や解像度の⾼さが活かせるという点で、SIerであるNSSOLが⼈事コンサルティングサービスを提供する意義があると思っています。
當⽥ NSSOLは「NSSOL 2030ビジョン」において、「Social Value Producer with Digital」を掲げています。これまでのテクノロジー価値の提供に加え、お客様のビジネス価値、そして社会的価値へのより⼒強い貢献を⽬指しています。そのためには、デジタルを駆使したコンサルティングとソリューションの提供価値を、「お客様企業で働く⽅々の成⻑ややりがい」に繋げていく、つまり「ソシキノミライ」が⽬指しているものを掛け合わせることが必要です。
⽣成AIが登場して、「⼈が企業や社会に対し、何のために・何を・どう貢献していくのか」「⼈は、どのように⾃⼰実現していくのか」がより⼀層問われる時代になっていくでしょう。また、⼈事施策においても、社員の知識やスキル以上に、マインドや組織カルチャーが重要になると思います。
これまで定量的⾒えなかったことが、「ソシキノミライ」によって定量的に⾒えるようにすることで、お客様のビジネス変⾰にも、働く社員の⽅々の⾃⼰実現も⽀えていきたいです。
本堂 「ソシキノミライ」をNSSOLで利⽤していることを、もっと訴求していきたいですね。導⼊後の効果はもちろん、導⼊まで苦労や、運⽤における課題は、お客様が導⼊する上でのヒントになるはずです。そういう意味では、NSSOL社内では、もっとどんどん⼩さな苦労を重ねて、さらに「ソシキノミライ」を磨き上げていきたいですね。
本堂 ⼈的資本経営は共通⾔語となりつつありますが、実践には多くの試⾏錯誤が伴います。課題が明確でない中でも、解決策を⾒出し、形にしていける組織こそが今求められています。私たちは「ソシキノミライ」を通じて、そうした組織づくりを⽀援し、⽇本企業が⼈の可能性を最⼤限に活かせる未来に貢献していきたいと考えています。
當⽥ 近年はステークホルダー資本主義がさらに重要視されている中、⽇本企業は株主資本主義とは異なり、昔から社員の成⻑・働き甲斐や⽣活を⼤事にする⼟壌があったと思います。しかし、グローバルで⾒ると「⽣産性が低い」と⾔われています。そうした中では、「社員を⼤事にすること」と、「社員のエンゲージメントを⾼めて、組織や会社としてのアウトプットを⾼めていくこと」、その両輪を回していくということが私は⼤事だと思っています。「ソシキノミライ」によって、社員のエンゲージメントを⾼め、そこにデジタルを装着させて組織のアウトプットを⾼めていくことに寄与していきたいです。
服部 「エンゲージメント」「D&I」「ウェルビーイング」……さまざまな⼈事⽤語が⼀般的になっていますが、その「⽬的」を⾒失わないことが⼤切です。それらの⼈事施策が、経営に良いインパクトを与えているか。事実(データ)を⾒ながら、その施策の有効性や成果をきちんと検証し、お客様の経営・組織・⼈の⽬指す姿を実現する⽀援をしていきたいと考えています。