コラム・レポート

人的資本開示は「義務」から「経営戦略」へ

作成者: 浦山敦史|Oct 20, 2025 12:00:00 AM

人的資本開示は「義務」から「経営戦略」へ

~ソシキノミライが導く、人的資本経営の新たな実装ステージ ~


 近年、人的資本開示 ※1 の義務化が進む中で、多くの企業が「開示しなければならない」という受動的な姿勢に陥っています。しかし、人的資本は企業価値の源泉であり、単なる義務ではなく、経営戦略の中核として位置づけるべきです。
ISO30414 ※2 は、人的資本開示に関する国際標準ガイドラインとして、企業が人的資本を戦略的に活用するための枠組みを提供しています。本コラムでは、ISO30414に準拠したデータ整備と活用のステップを通じて、人的資本開示を経営戦略に昇華させる方法を日鉄ソリューションズ 株式会社 デジタルソリューション&コンサルティング本部 オファリング&コンサルティングセンター ビジネスイノベーション&コンサルティング部 浦山 敦史が解説します。

※1  人的資本開示とは
企業が人材に関する情報(採用、育成、定着、エンゲージメントなど)を定量的に公開し、ステークホルダーに対して人的資本の価値や戦略を示す取り組みです。これは、企業の持続可能性や経営の透明性を高める重要な情報開示の一環です。


※2 ISO30414とは
人的資本に関する情報開示の国際標準ガイドラインです。企業が人材の価値を定量的に評価・開示するための69項目のKPIを定めており、人的資本経営の透明性と戦略性を高める枠組みを提供します。

 

 

人的資本開示の必要性と意義について

人的資本の開示は、企業が持続的に成長していくために欠かせない取り組みのひとつです。企業がどのような人材を採用し、育て、定着させているのか、また従業員がどれだけ働きがいを感じているかなど、「人」に関する情報を社内外にわかりやすく伝えることで、投資家や従業員、社会との信頼関係を築くことができます。

 

ー単なる報告義務ではなく、戦略的な活用へ

人的資本の情報は、単なる報告義務として捉えるのではなく、企業の「パーパス(存在意義)」や「ビジョン(目指す姿)」と結びつけて、戦略的に活用することが重要です。「人」に関するデータを経営の意思決定に活かすことで、企業価値の向上につなげることができます。

 

ーISO30414が示す人的資本のKPI

国際規格であるISO30414では、人的資本に関する69項目のKPI(重要業績評価指標)が定められており、これらを活用することで、採用活動の成果、研修の効果、離職率、従業員のエンゲージメント(仕事への意欲や満足度)、生産性などを数値で把握することができます。これにより、感覚的だった人事施策を、客観的に評価・改善できるようになります。

 

ーESG時代における人的資本の価値

人的資本開示は、ESG(Environment/環境・Social/社会・Governance/ガバナンス)の観点からも重要です。企業が人材を大切にしている姿勢を示すことで、投資家や従業員、社会からの信頼を得ることができます。人的資本を「見える化」し、それを経営戦略と連動させる体制を整えることが、持続可能な組織づくりへの第一歩です。

 

人的資本経営を支える、ソシキノミライの取り組みとは

人的資本を戦略的に活用するためには、単なるデータ収集や報告にとどまらず、企業のパーパスや経営課題と結びつけた実践的な取り組みが求められます。NSSOLの「ソシキノミライ」は、人的資本の可視化から施策実行までを一貫して支援することで、企業の人的資本経営を現実の成果へとつなげます。

 

ー実践に向けたアプローチ

現状の可視化と課題の特定:
まずは、自社に蓄積された人事・財務データを棚卸しし、ISO30414の指標に照らして開示可能な項目とギャップを把握します。これにより、人的資本に関する課題や改善余地が明確になります。

データの統合と整備:
人的資本情報は多くの場合、部門ごとに分散して管理されています。NSSOLの「ソシキノミライ」では、ノーコードプラットフォーム「Panalyt」を活用し、既存のHRツールと連携することで、データのクレンジング・蓄積・分析・可視化までを一気通貫で支援しています。

定量・定性の両面からの可視化:
ISO30414では、11領域・69項目の指標が定義されており、採用、育成、定着、エンゲージメント、生産性などを数値で評価できます。加えて、従業員の声や職場の雰囲気など、定性情報も可視化することで、より深い洞察が得られます。

経営との連動と施策実行:
可視化された情報をもとに、経営層と現場が課題認識を共有し、人的資本戦略を策定・実行します。NSSOLでは「Small Start & Quick Win」のアプローチを推奨し、スピーディかつ柔軟な施策展開を支援しています。

社内外への発信と信頼構築:
人的資本情報は、統合報告書やESGレポートなどを通じて社外にも発信されます。経済産業省は、投資家との対話において人的資本の説明責任を果たすことが、企業価値向上に不可欠であるとしています。

 

NSSOLの「ソシキノミライ」が描く未来

NSSOLの「ソシキノミライ」は、人的資本の可視化と戦略的活用を支援するためのソリューションです。アセスメントからデータ統合・分析、施策実行までを一貫して支援し、企業が自らのパーパスに基づいた人材戦略を描き、実行できるよう伴走します。人的資本経営の実現に向けて、企業の未来を共に創るパートナーとして、NSSOLは「ソシキノミライ」を通じて新たな価値を提供していきます。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。人的資本経営の第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。

 


日鉄ソリューションズ株式会社
浦山 敦史


デジタルソリューション&コンサルティング本部
オファリング&コンサルティングセンター
ビジネスイノベーション&コンサルティング部

 

 

 

 

 

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