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人的資本データを「経営の武器」に変える方法

作成者: 浦山敦史|Mar 9, 2026 1:00:00 AM

人的資本データを「経営の武器」に変える方法

人的資本“開示”を、意思決定に直結させるために


 上場大企業において、人的資本の開示は当たり前になってきました。しかし、開示のために整備したデータが、経営会議の意思決定に十分活かされていないという声は依然として多く聞かれます。その背景には、KGIやKPIが事業成果と結び付かないことや、データが分散していることで“開示資料づくり”に終始してしまう構造があります。
日鉄ソリューションズ(NSSOL)の「ソシキノミライ 人的資本シリーズ」や、Panalyt(パナリット)のデータ統合基盤は、こうした“断絶”を埋め、人的資本データを経営の武器へと変えていくアプローチを提供しています。今回は、Panalytを活かした人的資本データの活用について、日鉄ソリューションズ株式会社 デジタルソリューション&コンサルティング本部 オファリング&コンサルティングセンター ビジネスイノベーション&コンサルティング部 浦山 敦史が解説します。

 ※KGI(事業成果):最終的な成果をはかる指標(月間売上500万円など)
※KPI(人的成果):KGIの達成に向けたプロセスを評価する指標(月間売上500万円を達成するために新規顧客を週に〇人獲得など)

 

 

人的資本データが経営に活かされない理由

■ 理由①:開示KPIが“経営ストーリー”と結びついていない
人的資本開示のKPIは、「研修時間」「サーベイスコア」など活動量中心になりがちです。しかし、それだけでは事業KGIとの因果関係が不明確で、経営判断に結びつきにくいのが現実です。
NSSOLは、人的資本経営を実践するうえで定量データと定性データの両方を可視化し、企業価値向上の循環をつくることを重要視しています。この姿勢は、開示にとどまらず、経営の実装までを見据えた設計思想につながっています。

■ 理由②:データが分散し、整合性がとれない
人事情報が複数システムに散在しているため、整合性や完全性に欠け、可視化まで過大な手間が発生します。
多くの企業で、データが複数ツールに分散し、可視化・活用まで非常に工数がかかることが課題として顕在化しています。

■ 理由③:現場まで届く“運用導線”がない
KPIを設定しても、経営・人事・現場が同じロジック・同じ定義で数値を共有できていないと、改善アクションにつながりません。
人的資本データ統合・分析ツールであるPanalytは、権限設計や直感的に使えるUI、AI機能により、分析初心者でも現場で即活用できる環境を整備しています。

「開示KPI」から「経営KPI」への転換

■ 経営・事業に効くKPIの基本設計
人的資本KPIを“開示用”から“戦略用”に進化させるには、以下の連鎖構造で設計することが重要です。

  • KGI(事業成果):営業利益率改善、人件費効率、新規事業比率

  • KPI(人的成果):戦略人材充足率、離職率、女性管理職比率、エンゲージメント上位チーム比率

  • KSF(要因):オンボーディング完了率、採用ソース歩留、業務負荷指数、スキル到達度

NSSOLは、この構造をアセスメント→データ統合→実行支援まで一体で提供することで、KPIの経営実装を可能にしています。

※KSF(要因):KPIを達成するために特に重要となる行動・条件・環境の要因(新規顧客獲得数を伸ばすための「アポイント獲得率の向上」「問い合わせ対応のスピード」「提案資料の質」「優先ターゲットの明確化」など)

 

 

“単一の真実”をつくるデータ統合基盤の重要性

■ Panalytが実現する「統合と信頼」
Panalytは、さまざまなHRシステムやファイルと連携し、データのクレンジングとETL処理を行ったうえで、約400種の指標を自動計算して可視化します。
定義やロジックが透明化されているため、「数字が合わない」といった議論をなくし、経営会議を“施策検討の場”へと転換できる点が強みです。

■ NSSOLの伴走による“経営への実装”
NSSOLはISO 30414に対応できる専門家が在籍し、可視化したデータを人事戦略や組織変革の実行に結びつける支援を行っています。開示資料、可視化レポート、経営判断が一本化されることで、人的資本データが“経営の言語”として機能するようになります。

 

AIにより“データの可視化”から“未来の予測”へ

人的資本経営が本格的な定着期に入る中で、いま注目されているのが「AIによる組織・人材データの高度活用」です。Panalytは、単なる可視化ツールを超えて、要員施策のシミュレーションや、経営・現場の意思決定を支援する対話型AI、膨大なデータから“今起きている兆し”を自動抽出するインサイトファインダーなど、次世代の人的資本マネジメントを支えるAI機能を備えています

Panalytが提供するAI群は、単に過去の数字を見るためのものではありません。要員シミュレーション・チャッピー・インサイトファインダーという三位一体の仕組みにより、

  • いま起きている変化を捉える(インサイトファインダー)

  • 原因を理解し、打ち手を導く(チャッピー)

  • 未来の影響を定量的に比較する(要員シミュレーション)

という、人的資本経営に不可欠なサイクルを、日常業務の中に自然に組み込むことができます。AIは、人的資本管理を「レポート作り」から解放し、“経営と人事が、より良い未来を選択する”ための意思決定インフラへと進化させていきます。

 

人的資本“開示”は経営を動かす力に

人的資本データが経営に活かされない理由は、KPI設計と運用導線の不備にあります。
NSSOLの伴走支援とPanalytのデータ基盤を組み合わせれば、

  • 開示に使う指標

  • 経営が使う指標

  • 現場が動く指標

がすべてひとつの“単一の真実”に統合されます。これにより、人的資本開示は“義務対応”から“企業価値を上げる仕組み”へと進化します。

未来志向の人的資本経営へ――“データ整備の先”を実装する

 

 

人的資本の可視化が一般化した今、問われているのは「数値を揃えること」ではなく、その数値で経営と現場の行動を変え、企業価値の向上に結びつけることです。開示で使う指標・経営が意思決定に使う指標・現場が動く指標を一体で運用し、投資判断や人材ポートフォリオの見直し、配置・育成の打ち手までをシームレスに接続できるか——ここが次の競争力になります。そのためには、KGIに直結するKPI設計、定義の透明化、データ統合とクレンジング、そして会議体・閾値・責任者まで含めた運用導線の設計が欠かせません。
人的資本経営は、単なるデータ整備ではなく、企業の未来をともに創っていく変革そのものです。NSSOLは「ソシキノミライ」を通じて、その実現を支える確かなパートナーであり続けます。興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。人的資本経営の新たな一歩を、私たちとともに踏み出していきましょう。

 


日鉄ソリューションズ株式会社
浦山 敦史


デジタルソリューション&コンサルティング本部
オファリング&コンサルティングセンター
ビジネスイノベーション&コンサルティング部

 

 

 

 

 

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